ミヤケンのゲームろぐ。

ミヤケンが遊んだゲーム(映画アニメ小説他)に関する雑記ダヨ。

『犬はどこだ』を読んだ

 

『犬はどこだ』(著:米澤穂信)

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(作品概要)

元銀行マンの肩書きを持つ主人公 紺屋 は、出世競争から転落したことをきっかけに生きる気力を失っていた。祖母に諭されて戻ってきた地元で気まぐれに探偵事務所を構えてみると幸か不幸か、即座に人探しの依頼が舞い込んでくる。依頼遂行中、失踪人の残した手掛かりを辿って事件の真相に迫る過程で、紺野は自身の人間としての本質に気づいていく、という話。

 

(批評・感想)

端的に言うと、微妙。後半は見所が多くて悪くないが、問題は前半である。ミステリーの設計を意図する説明的な展開が露骨であり、人物の思想に繋がらない無駄な言動・仕草が目に余る。米澤穂信らしい洗練された情緒的な表現を本作ではあまり味わえなかったことが個人的には非常に残念。

作品としては満足に足るものではなかったものの、局所的に評価できるポイントがいくつか存在する。具体的に挙げると、巻末のコラムにもあるように多様な文体を一つの物語に無理なく内包している点は文学的に優れた技巧を体現したものであり、流石という他ない。作中に登場するいくつかのテキストから得られる印象、チャットやブログのコミカルさや文献の重厚さが物語に広がりを生み出している。

 

以下、俺の琴線に強く響いたセンテンス

 

──俺はあらゆることに生半可であり、どんな分野においても半端者だ。

──だからだろう。過去、実に二十三年間、こうした体験をしたことがなかったのは。つまり、知識が認識を変えるという体験を。

 

 

──刀折れ矢尽き、ただ逃げ続ける失踪さんを、私は哀れんでいます 同病相憐れむように

──間に合わなかった場合、骨を拾ってやりたい

──同じ敗残兵のよしみです

最終兵器彼女を観た

 


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■批評

控えめに言って、おもしろい。

世界・命・愛という題材に真正面から切り込んでいく気概が素晴らしい。

また、いわゆる「セカイ系」の代表作と扱われているだけあって無駄なプロットが存在せず、非常に洗練されている点も評価できる。

間違いなく後世に残るべき良作。

ただ、良作には大衆に広く刺さるタイプとニッチな層に深く刺さるタイプがある(この二つを兼ね備えたものが名作)が、最終兵器彼女は紛れもなく後者。

社会的に逸脱した価値観を強要するセカイ系はなかなか人に薦めづらい所がある。

強いていうなら、自身の人生がうまくいってないと感じずにはいられない人にオススメ。

 

 

簡単なあらすじ

付き合い始めた彼女が突然改造されて国の最終兵器になった!(初代仮面ライダー的なノリ)

最終兵器だから自分の意思と関係なく、戦争相手の兵士をサーチ&デストロイ!

戦争を経るごとに、身も心も兵器に侵食されていくという事実に苦しめられる彼女と、そんな彼女を守ってやれない己の無力さにうちひしがれる主人公。

その裏で戦争は激化し、世界の終わりが刻々と近づく…。

そんな感じ。

 

 

■感想

ここからは一個人の感性に基づいた感想。

こういった類いの作品を観ると、いつも俺には「厳しい世界vs.無力な主人公」という構造が魅力的に映って見える(そのせいで最近 自分にはペシミストの毛があるのかもしれない、などと薄々気づきつつあるが、、)。

この原因は恐らく俺の人生論にある。


リアルな話、元々 唯我を地で行く自分にとって世界とは生きるのを阻むまどろっこしいものであるという印象が強い。

雨や地震といった自然現象から社会規範・人付き合いまで、世界を構成するピースはなにかと俺を鬱屈とした気分にさせる。

「現実はクソゲーだ!」なんて言葉もあるけど本当にその通りじゃないか?

毎日毎日しんどい事の連続で、こんな息苦しい世界好んで産まれてくるものでもない(異世界転生という題材が最近流行っているのはこういった思想に由来しているのかもしれない、実はみんな世界に絶望しているのか…?)。

とはいえ、唐突に命を絶つ度胸もない俺がこの世界で生き残るためには自分を生かす理由が必要なわけで。

自身の命の価値を見出だせないままズルズル生きた20年余りの時間を経てやっと自分を生かす理由を見つけた時、俺は一つの人生論に辿り着いた。

それは、人生とは 俺を殺そうとする世界 と 俺を生かそうとする俺 の戦いである、というもの。

 

最終兵器彼女及び他作品類では、思わずドロップアウトしてしまいたくなるほどに厳しい世界に挑む主人公の生き様が描かれている。

これは紛れもなく俺の考える人生の構造そのものである。俺が完全に没入し、感激に至る理由はここにある。

そして、俺がこういった類いの作品を好む真の要因は主人公らが最後に報われるという所だ。

世界の終わり、すなわち人生の終わりにこれまで生きてきた意義を実感できるとはなんと羨ましいことか、俺は彼らの結末をみる度にそう感じずにはいられないのだ。

ゲーム屋さんになるぞう

某ゲーム会社への就職が決まった。


就活が完全終了して、人生の使い道が完全に定まったわけで。(もちろん。何らかの理由でドロップアウト、なんてこともあるかもしれないけど。)

一つの区切りとして、今日からログを残していこうと思いたち今に至る。

 

当初の予定では、このブログはコンテンツ作りに携わる上で必要な知識を蓄積する備忘録的なものになっていく…はず。

 

エントリを重ねるごとにコンテンツを批評する目であったり、文を書くセンスも磨けたら言うことなしなんだが。

 

というわけで、乞うご期待。